往復割引というと、まえにも紹介したように片道601キロ以上だと、普通運賃が往路復路とも1割引きになるという制度がよく知られています。

しかし、往復割引には、距離に関係なく、特急や急行にも適用されるケースがたくさんあるいずれも普通車自由席。

割引率にして、約40パーセントじつは東京ー甲府間を普通列車で往復すると、その運賃は4420円。

ちなみに、なぜこんなに激安なのかといえば、あずさ回数券もそうだったように、中央本線は中央自動車道を走る高速バスとの競争が激しいから。

競争があれば物価は下がるという見本のようなケースといえます。

これは、例年、春と夏、年末年始など、学校が休みになる時期に発売される期間限定キップのひとつで、料金は5枚つづりで1万1500円。

その使い方の基本的なルールは、以下のとおりです。

乗車できるのは、JRの快速列車、普通列車、連絡船だけ。

途中下車は自由。

.時から24時までを一日分としてカウントします。

ひとりで5日間使用してもいいし、5人で一日使用してもいいでしょう。

ようするに、一日わずか2300円で、普通列車乗り放題というのが青春18切符。

ネーミングからすると、いかにも若者向けのキップだが、年齢制限がないのもこのキップの優れたところです。

さて、この青春18きっぷ、うまく使いこなせば、東京から九州まで、わずか3000円ちょっとで行けてしまいます。

東京から博多まで、新幹線〈のぞみ〉を使えば、その料金が2万3560円であることから考えると、青春18切符はもう激安というほかないのです。

ウソかホントか、さっそく時刻表で確認してみることにしましょう。

東京発23時43分〜大垣着6時51分〈ムーンライトながら〉大垣発7時2分〜米原着7時39分米原発8時19分〜姫路着10時46分〈新快速〉姫路発H時4分〜岡山着12時25分岡山発12時43分〜広島着15時14分〈快速〉広島発15時26分〜下関着19時29分下関発19時45分〜門司着19時51分門司発20時12分〜博多着21時24分〈快速〉というわけで、青春18切符さえあれば、とにもかくにも、九州には行ける。

さらに門司発20時12分の〈快速〉に乗り、博多で下車しなければ、最終的には大牟田まで行けてしまえるのである大牟田着23時19分。

どうです。

青春18切符の一日分の料金は、2300円のはず。

その答えとヒントは、次の項目でお話ししましょう。

ひとつは、〈ムーンライトながら〉は、東京ー小田原間が全席指定となっているため、時期によって310円〜510円の指定席券が必要になるということがまずあります。

しかし、これはまあ、当たり前です。

もうひとつの理由を説明するまえに、前項で紹介した列車の発車時刻をもう一度見ていただきたい。

最初に乗る〈ムーンライトながら〉の東京発の時刻は、23時43分だったのです。

いっぽう、青春18切符の一日分の定義は、午前0時から24時までです。

そうなのです。

青春18切符で〈ムーンライトながら〉に東京駅から乗車してしまうと、わずか17分乗っただけで、青春18きっぷ一日分を使ってしまったことになるのです。

では、どうすべきか?

答えは、いたって簡単で、午前0時を過ぎたところで初めて青春18きっぷを使えばよい。

そのためには、午前0時を過ぎて最初に停車する横浜駅までは、東京ー横浜間の普通乗車券で乗り、横浜から青春18切符を使えばよいのです。

すでにおわかりのように、3000円とちょっとという料金は、青春18切符一日分の料金に〈ムーンライトながら〉の指定席券の料金、そして、東京ー横浜間の乗車券の料金480円を加算した金額だったのです。

というわけで、実際に鉄道旅行マニアのあいだでは、横浜までの乗車券で東京駅に入場し、〈ムーンライトながら〉の車内で青春18きっぷに翌日の日付の入った検札印を押してもらうのが、お約束になっているのです。

JRでは、原則として定期券を乗車券のかわりにして特急列車に乗ることはできないのです。

つまり、特急列車に乗るときは、あらためて乗車券と特急券を買わなければならないのだが、列車によっては、定期券特急料金で自由席に乗車できるケースがあります。

たとえば、内房線京葉線経由の〈ホームタウンさざなみ〉や、常磐線の〈ホームタウンひたち〉などがそれ。

このほか、総武線や高崎線、東北線にも同じ種類の特急列車があります。

気になるのは特急料金だが、こうした区間では、一般の特急料金よりも安く設定されています。

B特急料金というのがそれで、JR東日本の場合、B特急料金が適用される区間では、50キロまで630円、100キロまで950円自由席。

普通列車より10分ほど早いだけだが、上野から確実に座れるというのであれば、利用してみようという人もいるはずです。

次は、定期券で新幹線を利用する場合です。

ただし、それには条件があって、定期券を購入するさい、新幹線が利用できる区間を証明するハンコを押してもらわなければならないのです。

さて、実際に定期券で新幹線を利用しようとなったときは、定期券専用の回数券を買うかどうかも大きなポイントです。

JRでは定期券専用の新幹線自由席回数特急券があることをなぜか声高には宣伝しないのです。

東海道新幹線……50キロまで8400円、100キロまで9500円ともに10枚つづり山陽新幹線……50キロまで8300円、100キロまで9400円ともに10枚つづり上越新幹線……東京ー大宮間6240円、東京ー宇都宮高崎間1万20円6枚つづりいずれも有効期間は3カ月。

割引率が高いことを考えると、これは買いかもしれないのです。

出張にも大活躍するミニ周遊券の威力JR列車の旅というと、周遊券を利用する人も多いはずです。

周遊券とは、原則として決められた範囲ならJRの列車やバスに自由に乗り降りできるというもの。

たとえば、東京から大阪に出張するという場合、往復の普通運賃は1万7020円だが、京阪神ミニ周遊券なら1万6900円ですむ。

差額は120円とわずかだが、京阪神ミニ周遊券は、東は京都から西は西明石、南は和歌山までのJR線の普通列車や急行列車が乗り放題になります。

有効期間は7日間。

出張目的が京阪神地区のお得意さん回り、なんてときには、大いに威力を発揮するはずです。

また、大阪から東京への出張には東京ミニ周遊券料金は、やはり1万6900円が同様の威力を発揮します。

このふたつのミニ周遊券は、数あるミニ周遊券のなかでも一、二を争う稼ぎ頭といわれるが、それもまあ当然でしょう。

たとえば、東京から観光で飛騨高山に行くという場合、能登加賀温泉ミニ周遊券を使うという手です。

こうした例は、時刻表のミニ周遊券のページを調べれば数限りなくあります。

JRを利用するときは、観光だろうと仕事だろうと、やっぱり時刻表のピンクページは必読なのです。