まずは問題です。
東京から新幹線で名古屋に行き、そこから中央線に乗り換えて多治見まで行った場合、その普通乗車券はいくらになるだろうか?
東京ー名古屋間は366キロ。
普通運賃表で見ると4022キロは401〜420キロ区間になり、その運賃は6620円ということになるのだが、実際はもっと安い。
なぜ、実際の運賃は320円安いのか?
すなわち、362.7キロ32.9キロ395.6キロというわけで、だから運賃は6300円ということになるのです。
こうした区間は、じつは全国で52カ所もあるが、運賃のかからない区間には、次のような特殊なケースもあります。
いうまでもなく上野も日暮里もれっきとした山手線の駅。
これは、上野始発の常磐線特急が日暮里には止まらないこと。
また、日暮里に停車する普通列車ではあっても、日暮里駅が手狭なため、乗り換えには上野駅を利用する人が多いことなどがその理由になっています。
乗り越し精算したほうが運賃が安くなる不思議JRの運賃については、さまざまな矛盾というか、抜け穴があります。
4章で説明する近くの往復より遠くの往復のほうが安いというのもそのひとつだが、もうひとつ、キップは目的地まで買うより、一駅手前まで買って乗り越し精算したほうが安いというケースがあるのです。
これは、実際に乗車した区間の運賃ともとのキップ代の差額を支払うというもの。
片道営業キロ数が101キロ以上の場合は、打ち切り計算という方式が用いられます。
これは、A駅からB駅までのキップで、その先のC駅で下車した場合、BIC間の運賃を支払うというもの。
たとえば、東京都区内から東海道本線で静岡に行くという場合、ひとつ手前の草薙までのキップを買うとどうなるか。
東京ー草薙間は営業キロ数1742キロで、その運賃は2940円です。
いっぽう、東京ー静岡間は営業キロ数180.2キロで、その運賃は3260円です。
つまり、東京から静岡に出かけるときは、草薙までのキップを買って静岡で乗り越し精算したほうが140円得になるというわけです。
これは、JRの運賃体系が営業キロ数20キロ単位で300円前後もはねあがる営業キロ数101キロ〜600キロの場合ために起こる現象といえます。
時刻表に掲載されている駅間の営業キロ数と、普通運賃表をにらめっこしていれば、いくらでもこうしたケースは発見できるでしょう。