鉄道旅行をしようと思ったら、何はなくとも必要なのが時刻表です。
しかしひと口に時刻表といっても、500円程度のポケット判から、1000円近い大型のものまで、その種類はけっこうあります。
たしかにポケットサイズは手軽だが、情報量という点では決定的に不足します。
本格的に鉄道旅行を楽しみたいなら、全国のJRはもちろん、バスや私鉄の情報まで網羅されている大型サイズがいいでしょう。
大型全国版の時刻表には、JTB日本交通公社の『JTB時刻表』と、弘済出版社から出版されている『JR時刻表』の2種類あります。
どちらも同じ値段で、内容もほぼ同じです。
カラーページから始まって、全国の鉄道地図、最新情報、新幹線などが載った青いページ、在来線のページ、そしてピンクページといわれるJRの営業案内要熟読のことと、構成も変わりがないのです。
どちらを買おうか、迷うところです。
両者を比べたとき大きくちがうのは、『JR時刻表』のほうは、列車の時刻が2色刷りで書かれているということです。
普通列車と快速列車は黒、急行や特急は赤と、列車の種類によって色分けをしてあります。
普通運賃で乗れる列車か、それ以外にいちもくりようぜんも特急料金などを追加しなければ乗れない列車かが、一目瞭然です。
JRグループが業務用に使っているのも『JR時刻表』のほうで、『時刻表の楽しい読み方』も原則として『JR時刻表』をもとにしています。
時刻表は、毎月新しい号が発売されます。
列車ダイヤや運賃に大きな改正がなかったとしても、旅行をするときは最新号を使うようにしたい。
JRに改正がなくても、私鉄やローカルバスのダイヤが大きく変わっていることもあります。
古い時刻表で予定を組んで地方へ旅行したとき、現地のバスのダイヤがすっかり変わっていて大あわてしたなんてこともあります。
これはまだいいほうで、夏の時刻表を持って冬の雪国を旅行したところ、バスが運行休止中だったなんていう話も珍しくないのです。
とくに具体的な旅行の予定はない場合でも、とりあえず春や秋のダイヤ改正号と、運賃改定号を買っておくと、何かとあとで便利です。
さらに各シーズンごとに、季節の臨時列車が収録されている号も押さえておけば、いざというとき重宝します。
たとえば2月号を買えば、3月から6月までの春の臨時列車がすべて載っています。
2月、6月、9月、11月号を買えば、春夏秋冬すべての臨時列車を網羅することができる。
旅先では、現地で地方版の時刻表を買うという手もあります。
たとえば北海道なら、『JTB北海道時刻表』、弘済出版社の『道内時刻表』、JR北海道編集の『北海道ダイヤ』があります。
バスのダイヤが詳しく載っていて便利です。
私鉄や私バスも会社によっては、冊子型の時刻表を発行しているところがあります。
これらも手に入れておけば、何かと心強い。
営業キロと換算キロはいったいどう違うの?
貧乏旅行をするときは時刻表とにらめっこになるが、肝心の運賃を計算するときにちょっと面食らうことがあります。
JRの運賃は、たとえば同じ100キロを走っても、この4種類のどの線かによって、それぞれ運賃がちがってきます。
どの線が幹線か地方交通線かは、時刻表の索引地図を見ればすぐにわかります。
黒で書かれたのが幹線、青で書かれているのが地方交通線です。
駅名の左側に営業キロや換算キロなど、いろいろな数字が書かれているのも、幹線か地方交通線かによって運賃計算法が異なることが関係しています。
幹線の場合は営業キロのみ、地方交通線の場合、それ以外の数字も書かれているが、これらの数字からどうやって運賃を計算するのか。
同じJRグループでも、JR本州3社や北海道と、JR四国、九州は運賃の計算法がやや異なるが、ここでは本州3社と北海道の場合について説明しましょう。
幹線だけに乗る場合は、目的地までの営業キロをピンクページにある幹線の運賃表と照らし合わせる。
地方交通線だけに乗る場合も、営業キロを地方交通線の運賃表と照合すればいいでしょう。
換算ギゴは、幹線と地方交通線にまたがって乗るときに必要になります。
これが運賃計算キロといわれるもので、幹線と地方交通線の両方を使って移動した場合、幹線の乗車区間の営業キロ数十地方交通線の乗車区間の換算キロ数運賃計算キロとなり、この運賃計算キロを幹線の普通運賃表と照らし合わせると、乗車に必要な運賃がわかるという仕掛けです。
ちょっと面倒くさい計算方法だが、こんな手間も旅行計画を立てる楽しみのひとつといえるかもしれないのです。