線路の名称には、大きく分けて本線と××線のふたつがあるが、このふたつはどうちがうのでしょうか。
本線は大きくて、××線は小さい……まあ、それでもけっしてまちがいではないが、もう少し詳しくいうと、次のようになります。
現在の線路の名称は国鉄時代の日本国有鉄道線路名称をそのまま踏襲しています。
しかし、現在は、かなり様子がちがっています。
JR四国は、本線の呼称を全廃して、すべて線という名前にしているし、むかしは支線をしたがえていた本線も、ローカル線の廃上によって、1本の線でしかないところも増えています。
北海道の日高本線、留萌本線、宗谷本線や、本州の高山本線、九州の豊肥本線などがこれで、これらは枝をもがれてしまっただけでなく、運賃が割高な地方交通線にまでグレードダウンしています。
国鉄時代は子分をひきつれて意気揚々としていた本線も、時代の荒波にのまれてしまったということなのか。
しかし、本線を利用する沿線の住民や本線に勤務するJR関係者には、いまでも本線としてのプライドが残っているようです。
金券ショップで買ったエコノミーきっぷの落とし穴酒、飛行機チケット、ホテル……いまや、なんでもディスカウントで手に入れることができるようになったのです。
当然、新幹線に乗るとき、金券ショップでキップを買うという人も多いはずです。
この新幹線エコノミー切符は、もともとJRが発売しているもので、東京ー大阪間や東京ー神戸間、名古屋ー大阪間など9種類、グリーン車分を入れると14種類があります。
エコノミーというだけあって、さすがに料金は安い。
たとえば東京ー大阪間は、正規の料金だと乗車券と特急料金を合わせて1万3750円。
新幹線の回数券を使っても、6枚つづりで7万6140円だから、1枚あたり1万2690円になるが、エコノミー切符だと50枚つづりで60万3500円、1枚あたりが1万2070円と、正規に買うより1680円も安い。
この新幹線エコノミーきっぷは、発売の単位が20〜50枚と大量なため、大量にさばける金券ショップに持ち込まれ、発売されているというわけなのだが、この金券ショップで売られているエコノミー切符には、ちょっとした落とし穴があるのです。
じつは金券ショップで売られているエコノミー切符は、クレジットカードで購入されたものが多いクレジットカードで買ったキップには、C制というスタンプが押されているのですぐにわかります。
問題が起こるのは、新幹線が大幅に遅れた場合などです。
JRでは、特急急行列車が2時間以上遅れて到着した場合や、運転をとりやめた場合、特急急行料金は全額払い戻しをします。
ところが、新幹線エコノミー切符の場合、買ったときについてくる購入控えを持っていないと、この払い戻しが受けられないのです。
つまり、金券ショップで買ったキップには、この購入控えがないため、払い戻しは受けられないのです。
まあ、正規の料金よりもかなり安い料金で買えるのだから、ある程度のリスクはしかたがないのかもしれないが……。
たとえば5月1日の列車だと、指定券の発売日は4月1日です。
しかし、よく考えれば、これはなかなか不便な規則です。
たとえば冬休みを利用して冬の北海道へ行こうと、12月28日に東京から函館へ、夜行列車で行く計画を立てたとしましょう。
ルートは東北本線で季節列車の急行〈八甲田〉に乗って上野から青森まで行き、青森から津軽海峡線の〈海峡〉に乗り換えて、そのまま函館まで行くというものです。
〈八甲田〉は22時16分に上野を出て、青森に着くのは翌日の9時7分です。
当然、〈海峡〉に乗るのは12月29日になってしまうが、ここでハタと気がつくことになります。
〈八甲田〉の乗車日のちょうど1カ月まえ、すなわち11月28日にキップを買おうとしても、乗り継ぎ列車の〈海峡〉のほうは、まだ発売1日まえだから買うことができないのです。
〈八甲田〉〈海峡〉ともに発売当日に指定席を手に入れようと思ったら、H月28日と29日の2日に分けて買いに行かなければならなくなってしまいます。
これは、ちょっと面倒です。
しかし、安心されたい。
JRでは、こうした三度手間をかけずにすむよう、発売1カ月まえの規則に特例を設けています。
いま例に挙げたような場合をはじめ、以下のケースについては、乗り換え列車の指定券を、乗車日の1カ月と1日まえから購入できると認めているのです。
東北奥羽本線の夜行から、函館行き快速〈海峡〉に乗り継ぐとき。
本州と北海道の特急急行、東北常磐奥羽方面発の寝台特急急行から、朝の〈ひかり〉へ乗り継ぐとき。
寝台特急瀬戸から、四国の特急急行へ乗り継ぐとき。
九州四国発の寝台特急急行から、〈ひかり〉〈こだま〉へ乗り継ぐとき。
東海道山陽本線の寝台特急から、SL〈やまぐち〉へ乗り継ぐとき。
長距離を移動する乗客に対して、こまかい心遣いを見せてくれるこの特例だが、条件さえ満たしていれば、誰でも買えるというわけではないのです。
じつはこの特例には、発売枚数に制限があります。
これは、乗り継ぎでないほかの乗客の便宜を考えてのものです。
発売枚数に制限がなければ、決まりどおり発売1カ月まえに予約券を買いに行ったら、すでに前日の段階で売り切れていた、ということが起こりかねないのです。
それを防ぐための枚数制限というわけです。
またドリーム号をはじめ、JRバスの指定席については、どんな場合でも乗車日の1カ月と1日まえが発売開始日となっています。
夜行列車に乗って翌日の朝、目的の駅に着き、そこからJRバスに乗るといった場合も、同じ日に指定券を購入できるわけです。
ところでよく誤解されやすいのが、この発売1カ月まえという言葉です。
この1カ月まえというのは、正確には乗車日ではなく、乗車する列車の発車日のことを指す。
たとえば先の例でいえば、〈八甲田〉で上野からではなく途中の黒磯から乗る場合、東京発の〈八甲田〉が黒磯を出るのは、日付が変わった0時34分だが、上野を発つ発車日は前日なのだから、予約券を買うのは、東京から乗る人と同じ11月28日でいいのです。
代表的なのは、東北新幹線の〈やまびこ〉です。
〈やまびこ〉は、基本的には東京ー盛岡間を走っているが、途中の福島で枝分かれした車両は山形新幹線の〈つばさ〉と名前を変えて山形に向かうし、仙台や盛岡で枝分かれした車両は秋田新幹線の〈こまち〉に名前を変えて秋田に向かう。
上りもまったく同じ。
〈つばさ〉は盛岡や仙台で、〈こまち〉は福島でそれぞれ〈やまびこ〉に合流して東京へ向かう。
うっかりすると、盛岡に行くつもりが山形に行ってしまうということもありうるからです。
そんなことにならないためには、時刻表のピンクページの最後にある列車の編成ご案内が役に立つ。
たとえば、東北ー秋田新幹線の場合なら1〜10号車は東京ー盛岡、11〜15号車は東京ー秋田という具合に、車両ごとの目的地がちゃんと記されています。
もっとも、列車によっては、切り離し部分の車両間が通り抜けできなくなっていることがあるから、席の移動は慎重に。
また、場合によってはこんなケースもあります。
上越線と吾妻線が分岐するのは渋川駅だが、新特急〈水上草津〉の分割併合が実際に行なわれるのは、作業の関係で渋川より東京寄りの新前橋になります。
ぐるぐる回る山手線にも始発と終着がある¨山手線は、いうまでもなく、現状線です。
昼間は、どの駅が始発でどの駅が終点なんていうことはわからないが、なにごとにも始まりと終わりはあります。
時刻表にも山手線の時刻表は載っていて、そこにはちゃんと始発駅と終着駅が記されています。
まずは山手線の外回りの場合、一番電車が出発するのは池袋で、時刻は4時26分。
次にスタートするのは大崎発の電車で、4時29分です。
いっぽう、内回りは、大崎発4時29分が一番電車。
次が池袋発4時33分ということになります。
次は、終電の終着時刻とその駅名。
外回り電車が最後まで走っているのは、大崎発0時15分の電車で、終着駅と終着時刻は品川の1時13分。
内回り電車では、大崎発0時13分の電車で、終着駅と終着時刻は、やはり品川の1時19分です。
こうしてみると、山手線の起点となっているのは、池袋、大崎、品川の3駅であることがおわかりのはず。
昼間でも、大崎止まりや池袋止まり品川止まりの電車があるのも同じ理由です。
ちなみに、どの電車が大崎止まりや池袋止まりなのかは、大崎止まりLと品川止まりは池袋で、池袋止まりは大崎で明らかにされます。
線路の戸籍を調べると、山手線は3つの線路の複合体なのです。
こうした例は、地方にもあります。
長い線を分割して、それぞれ愛称で呼んでいるケースです。
たとえば、東海道本線です。
もっとも、この愛称を考え出したJR西日本としては、東海道本線ではいかにも管轄がJR東海のようでイヤだ……という面もあるのかもしれないけれど。
また、線の名前を丸ごと変えた愛称もあります。